古生代

最終更新 2017.11.05

カンブリア爆発

 古生代は生物が多様化した時代です。まず、硬い殻を持つ生物が初めて出現します。化石からは生物が一気に多様化したことが分かっており、殻または外骨格を得たことが、生物にとってたいへん重要であったことを示しています。この生物の劇的な進化は、古生代最初の時代であるカンブリア紀にちなんで「カンブリア爆発」とも呼ばれます。

 特に、カナダのバージェス頁岩から産するこの時代の化石は有名で、「バージェス動物群」と呼ばれています。分類学的にも謎の多い、特徴的な形態をした生物です。


バージェス動物群の代表的な生物、アノマロカリスの復元予想図。[画像クリックで拡大]
出典:Nobu Tamura制作、Opabinia regalis (Opabinia_NT2.jpg), CC BY-NC-ND 3.0, 詳しくはこちらを参照 外部リンク


バージェス動物群の代表的な生物、オパビニアの復元予想図。[画像クリックで拡大]
出典:Nobu Tamura制作、Opabinia regalis (Opabinia_NT2.jpg), CC BY-NC-ND 3.0, 詳しくはこちらを参照 外部リンク

 もうひとつ、古生代で重要な出来事は、生物の陸上進出です。およそ4億2000万年前には最初の陸上植物が現れています。植物は石炭紀に入ると大繁殖をとげ、その化石は石炭となり、人類の時代になってからイギリスをはじめとする産業革命のエネルギー源となりました。


デボン紀の陸上植物のイメージ図。[画像クリックで拡大]
出典:Devonianscene.jpg: Eduard Riou (1838-1900) from The World Before the Deluge 1872, United States derivative work: Rursus - Devonianscene.jpg, Public Domain, 詳しくはこちらを参照 外部リンク

 陸上植物が繁茂し始めてから、今度は陸上動物が出現します。魚類から両生類への進化です。これはまた、呼吸の仕方、繁殖の仕方が大きく変わったことも意味しています。当初は水域から離れることが困難だった陸上生物も、は虫類に進化するに及んで、広く陸上に進出することができるようになりました。


デボン紀の魚類から両生類への進化。左から右に進化・多様化していきます。[画像クリックで拡大]
出典:Late Devonian vertebrate speciation; descendants of pelagic lobe-finned fish including early tetrapods as well as other lobe-finned fish. Graphic by dave souza, CC BY-SA, 詳しくはこちらを参照 外部リンク

古生代末の大量絶滅

 生物が繁栄を続けてきた古生代ですが、約2億5000万年前の古生代の末 (P-T境界) に、地球史上最大とも言われる生物の大量絶滅が起こりました。酸素欠乏事件とも呼ばれています。この影響のため、生物起源の岩石であるチャートは、中生代のはじめにはほとんど見られなくなっています。


古生代を代表する生物である三葉虫の化石標本。三葉虫も古生代末に絶滅してしまいます。[画像クリックで拡大]
出典:産総研地質調査総合センター 外部リンク産総研地質調査総合センターの公開する Linked Data「三葉虫類 (GSJ F7580)」 外部リンク

 酸素欠乏の原因はよくわかっていないのですが、地球規模の火山活動という説があります。それが「シベリア洪水玄武岩 (シベリア・トラップ)」です。シベリア洪水玄武岩の活動は通常の火山噴火とは違い、ほぼ西ヨーロッパ全土を覆い尽くす巨大な規模であったと言われています。


シベリア洪水玄武岩の分布範囲。紫は溶岩類、赤は凝灰岩類。[画像クリックで拡大]
出典:Kaidor - Own work based on File:Extent of Siberian traps german.png and File:Russland Relief.png, CC BY-SA 3.0, 外部リンク, 詳しくはこちらを参照 外部リンク

 この大噴火のために、大気中に火山灰が充満し、光合成を阻害した可能性が指摘されています。また、火山ガスに含まれる二酸化炭素が地球温暖化を引き起こし、温暖化がメタンハイドレートの分解を促進して海洋が無酸素状態になった可能性も指摘されています。

古生代の日本

 日本には古生代の地層は各地に残されています。最も目立つのはペルム紀の石灰岩で、これらは熱帯地域の珊瑚礁で形成されました。ただし、当時の日本が熱帯地域にあったのかというと必ずしもそうではなく、この石灰岩は海洋プレートにのって移動を続け、多くはもっと後の時代 (中生代) に日本と合体するのです。


山口県にある秋吉台のカルスト地形。秋吉台は、日本における代表的な古生代石灰岩 (石炭紀-ペルム紀) の分布地域です。[画像クリックで拡大]
出典:産総研地質調査総合センター 外部リンク絵で見る地球科学「石灰岩」 外部リンク

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