新第三紀後期になると、栃木県内から海が引いていきます。現在、地表で見られる地質のうち、この時代に形成されたのは下野山地に残っている火山起源の地層・岩体です。
栃木県内の新第三紀後期の地質の分布。この時代の地層は、県北部の山地に見られる火山岩類です。
産総研地質調査総合センター 、20万分の1日本シームレス地質図 DVD版
および地理院地図 白地図
を基にQGISで編集。
栃木県北部の地質図を見ると、薄いピンクの地質が楕円や円形に分布しているのがわかります。これはみな、巨大噴火によって地表が陥没したカルデラと、そこを埋めた火山岩です。もっとも、カルデラの地形を残しているのはごく一部 (塩原カルデラの北半分) で、他の場合は地形としては判別がつきません。このような浸食されてしまったカルデラを「コールドロン」と呼びます。カルデラおよびコールドロンについては、地球科学の基礎知識にある「カルデラ噴火」のページをご覧下さい。
栃木県北部から福島県にかけて分布する新第三紀後期のコールドロンと第四紀のカルデラ。コールドロンは火山岩が埋め尽くしています。大田原火砕流は第四紀に活動したカルデラ火山である塩原カルデラからの噴出物です。
出典:産総研地質調査総合センター 、1/20万日本シームレス地質図データベース
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各コールドロン・カルデラ名を加筆。
コールドロンを埋めている火山岩の多くは溶結凝灰岩です。また、一部には花崗岩質の貫入岩も見られます。ちょうど白亜紀に活動していたのと同様な火山深成複合岩体が、新第三紀後期から再び形成されていたのです。