栃木県の地形

全体的な特徴

 栃木県は北から西側、そして東側に山地が取り巻き、中央部やや東寄りに平地が広がるという、南側に開けた地形をしています。一番高い山は日光白根山で、標高は2577 mあります。一方、一番低いのは南端部の渡良瀬遊水池付近で、標高10 m少々しかありません。このように、内陸県でありながら、とても標高差が大きいという特徴があります。

栃木県の地形の概要。河川の多くが北西-南東方向または南北方向なのが分かります。南端のハート型の貯水池周辺が渡良瀬遊水地です。赤文字は活火山。
川だけ地形地図 外部リンク を利用して製作。

 足尾山地の谷を見ると、みな同じ方向 (北西から南東) に向かっています。これは必従谷と呼ばれる河川地形で、新しく斜面ができるときに傾斜の方向に川が流れることで形成されます。つまり、足尾山地では山ができはじめてから地殻変動の傾向が大きくは変わっていないこと、火山噴火による埋め立てなどの大規模な地形改変を受けてこなかったことを示しています。

 八溝山地は、足尾山地のような顕著な必従谷は見られません。その中で目立つのは、山地を横切って茨城県へ流れる那珂川の流路です。これは穿入蛇行と呼ばれる河川の形状で、山ができる前からそこを河川が流れていたことを示すと考えられています。

栃木県の地形の鳥瞰図。南東の上空から見下ろしたところ。赤い線は活断層の関谷断層。
国土地理院10 mメッシュ標高データ 外部リンク からフリーソフト「カシミール」 外部リンク を用いて製作。

 栃木県の平地は、広い範囲で見れば関東平野の北限に相当します。しかし、山地に近いこともあり、丘陵地および扇状地が発達しています。これら丘陵や扇状地を流れる河川の方向も、やはり北西から南東方向で、栃木県の地殻変動の傾向が現在に至るまでずっと北西側の山地の隆起であったことを示唆します。

栃木県の丘陵と扇状地の地質。緑色は段丘、青紫色は古い扇状地、赤色はは火山性の扇状地を示します。
産総研地質調査総合センター 外部リンク 1/20万日本シームレス地質図データベース 外部リンク を基に製作。

 喜連川丘陵は、現在は浸食されて当初の地形は失われていますが、もとは扇状地であったことが分かっています。また、高久丘陵は火山性の扇状地です。つまり、新旧の大規模な扇状地が組み合わさっているのが栃木県の特に北部での平地の特徴と言えるでしょう。これだけ扇状地ができたということは、礫や土砂の供給がとても多かったことを意味します。ただし、今市扇状地・那須野原扇状地は、現在ではいずれも既に段丘化し、河川の流路はほぼ固定化されつつあります。

地質との関係

 一方で、足尾山地の谷が平地に移り変わる付近では、河川の流路はほほ南北方向に変わります。これは、ひとつには地質構造が影響しています。栃木市周辺の足尾山地の末端部では、地質構造が谷の方向と斜交ないし直交するような向きになっているうえ、チャートという硬い岩石が連続して分布しています (例えば大平山や唐沢山もチャートでできた山です)。

足尾山地東縁の地質構造。地層の連続する方向が、鹿沼市から栃木市にかけてはおおむね南北方向、栃木市から佐野市にかけては北東-南西方向になっているのが分かります。濃いオレンジ色はチャートというたいへん硬い岩石です。
産総研地質調査総合センター 外部リンク 「栃木県シームレス地質図」 外部リンク、地理院地図 陰影起伏図 外部リンク を基にQGISで製作。

 もうひとつ、現在活動中の日光・高原・那須の火山群が、いずれもおよそ50万年前頃から活動を始めていることも無関係ではないでしょう。火山は繰り返す噴火によって山体をつくるとともに、河川勾配を大きくしたり、土砂を供給することになります。地殻のマグマは浮力にもなります。現在、これらの栃木県北部からの堆積物の供給が卓越しているのは確かです。これは、足尾山地から流れる河川の行く手を北方からの堆積物が埋め立てていることも意味します。

リンク

 今日、立体地形は難しい処理や技術なしで自由に見ることができます。以下のサイトから、立体地形・地質をぜひご覧ください。これまで知られていなかった発見があるかも知れません。

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