白亜紀の地質

 栃木県内の白亜紀の地質は、ほとんどが火山岩・深成岩です。これらは一連のマグマ活動で形成されたと考えられ、マグマが地表に噴出したものが火山岩、地下で冷えて固まったものが深成岩となって残っているとみなされます。火山・深成複合岩体とも呼ばれます。

栃木県内の白亜紀の火成岩の分布。主に日光地域に分布していることが分かります。
産総研地質調査総合センター 外部リンク 「栃木県シームレス地質図」 外部リンク および 地理院地図 白地図 外部リンク を基にQGISで製作。より詳しくご覧になる場合は「栃木県の地質図」をご利用ください。

カルデラを埋めた火山岩

 白亜紀の火山岩は、主に日光中禅寺湖から南方の足尾山地周辺にかけて広く分布しています。mesozoic (中生代) のvolcanic rocks (火山岩類) なので、通称「メソボル」と呼ばれることもあります。その多くは溶結凝灰岩で、とても硬く、結晶の目立つ岩石です。1960年代までは「石英斑岩」と呼ばれ、マグマが直接固まった貫入岩と考えられていました。

 溶結凝灰岩は、よく見ると火山噴火の際に吹き飛ばされた岩片や、軽石が含まれているのが分かります。しかし、軽石は溶結のため多孔質な構造が失われ、ただのガラス質のレンズ状になっています。岩石によっては、このレンズが目立つものもあります。レンズは熱せられたままの軽石が、堆積物の重みでつぶれてしまったと考えられており、堆積したときの地層の向きをほぼ表しています。

 栃木県に分布する白亜紀の火山岩類は、削剥が進んだり、より新しい時代の地層に覆われたりしてその分布形態や構造がなかなかわかりません。しかし、同様の岩石は日本各地にも広く分布しており、地質学的な研究からそれらの多くがカルデラを埋めた堆積物であることがわかっています。栃木県内でも部分的にはカルデラの一部と思われる構造が認められます。しかし、現在ではカルデラを連想させるような地質構造を確認することは難しく、むしろ周りよりも標高の高い場所に分布しています。これは、とても硬い岩石であるため、周りよりも浸食されにくく、相対的に削られずに残ったためと考えられます。

 カルデラとその噴火による堆積物については、「カルデラ噴火」のページを参照してください。

マグマだまりが冷えて石になった深成岩

 白亜紀の深成岩も各地に分布しています。多くは珪長質な花崗岩や花崗閃緑岩で、苦鉄質なはんれい岩はまれです。

 このうち、鹿沼市西部の横根山周辺には古峰ヶ原花崗閃緑岩と呼ばれる大型の岩体が分布しています。深成岩は均質かつ風化しやすい特徴があるため、横根山周辺は足尾山地のなかではなだらかな地形を呈しています。現地では、シーティング (三枚石) や球状風化など、花崗岩地形と呼ばれる独特の景観も見られます。

 白亜紀の火山岩は火山・深成複合岩体をなしているものが多いですが、深成岩だけの孤立した岩体もあります。足利市の名草に見られる花崗岩はそのひとつで、付加体の地層に貫入して単独で存在します。ここの球状風化も花崗岩地形によく見られるもので、残った大型のコアストーンは「名草巨石群」と呼ばれ、国指定の天然記念物になっています (足利市のウェブページはこちら ext_s.png(291 byte))。

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足利岩体と呼ばれる後期白亜紀花崗岩の産状。名草の巨石群として有名。
出典:野外地質学~Field Geology~のページ 外部リンクちょっとサイエンス 外部リンク ccby_s.png 外部リンク


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