沖積層

最終更新 2023.04.20

栃木県の沖積層

 沖積層は最終氷期以降に主に平野に堆積した地層の総称で、川沿い、海沿いに分布しています。山地に近い場所では砂や礫、海に近い地域では砂や泥からなります。実際に河原に行ってみるとわかりますが、栃木県の場合には礫が多いのが特徴です。


上三川町東蓼沼付近における鬼怒川の様子。このように、栃木県の河原には礫がごろごろしています。[画像クリックで拡大]
出典:産総研地質調査総合センター 外部リンク絵で見る地球科学「中州」 外部リンク

 一般に、沖積層は水を含みやすく、軟弱地盤を形成しやすいといわれています。特に、東京や大阪など海岸平野に発達した大都市ではその傾向が強く、大きな建物を作る場合には地盤改良や杭打ちなどの補強工事が行われます。その理由は、海水準の変動に伴い、沖積層の中に海成の泥の層が挟まっているためです (詳しくはこちらのページを参照。この海成粘土層が地盤としては強度が低いのです。一方、栃木県では上の写真にも見られるように礫がとても多く、相対的に地盤としては強くなっています。

 栃木県も関東平野の一部を構成しています。ただし、平野といってもその地形・地質の状況は、東京や埼玉などとはやや異なります。下の図は東北新幹線の路線に沿って、その土地の標高を断面図として表したものです。ご覧のように、栃木県内と県外では勾配が全く違うことがわかります。このことは、川の流れの速さの違いとなって現れます。そして、速い流れはそれだけ大きな粒子を運ぶことができます。


東北新幹線の路線の標高の断面。[画像クリックで拡大]
出典: 国土地理院10 mメッシュ標高データ 外部リンク からフリーソフト「カシミール」 外部リンク を用いて製作。

河川と沖積層

 栃木県の場合、沖積層は主な河川に沿って分布しています。すなわち、沖積層の分布は、最近の時代に川がどこを流れたかによって決まります。また、細かく見ると川は様々な堆積物を残します。沖積層の中でも、より砂質な場所、泥質な場所があります。この違いは、水はけの良い悪いに関係し、農作物の生育の向き不向きに影響するほか、地盤の強弱も変わってきます。

  • 旧河道:一般に水を多く含む軟弱な地盤
  • 自然堤防:砂質で水はけが良いほか、周辺よりわずかに高くなっている


河成堆積システムの模式図。[画像クリックで拡大]
出典:産総研地質調査総合センター 外部リンク絵で見る地球科学「河成堆積システム」 外部リンク

 川がどこを流れたかは、古い地形図や空中写真から判読することもできます。国土地理院では、これらの情報を地理院地図で公開しています。また、専門家が判読した土地条件図、地水地形分類図なども利用できます。

 ただ、正確な地盤の様子を知るためには、最終的にはボーリング調査などで調べることになります。