白亜紀の火成岩類

最終更新 2017.12.17

前期白亜紀

 日本に見られる前期白亜紀の地層は、堆積岩が主体です。火山岩は安山岩の溶岩や火砕岩がありますが、その量はそれほど多くありません。堆積岩も浅海性のものが少しある以外は、陸上で堆積したものが主体です。特に、兵庫県から福岡県にかけて分布する前期白亜紀の地層は特徴的な赤い色の砂岩・泥岩を主体としており、堆積当時は温暖で乾燥した気候であったことが分かっています。


前期白亜紀の火成岩類の分布。塗りつぶされた地域が分布域ですが、あまり存在しないことが分かります。[画像クリックで拡大] 出典:産総研地質調査総合センター 外部リンク1/20万日本シームレス地質図データベース ダウンロードシェープファイル 外部リンク地理院地図 白地図 外部リンク を利用してQGISで作成。

 前期白亜紀から後期白亜紀の初め頃までの陸成層からは、恐竜の化石が見つかっています。また、貝や魚、亀の化石なども発見されています。

後期白亜紀

 後期白亜紀、それも8500万年前くらいになると、様子は一変してきます。大規模な噴火を起こす活発な火山活動が各地で見られるようになるのです。一方で、化石を伴うような堆積岩は、すっかり少なくなります。


後期白亜紀の火成岩類の分布。塗りつぶされた地域が分布域です。広い範囲にわたって分布していることが分かります。[画像クリックで拡大]
出典:産総研地質調査総合センター 外部リンク1/20万日本シームレス地質図データベース ダウンロードシェープファイル 外部リンク地理院地図 白地図 外部リンク を利用してQGISで作成。

 後期白亜紀はおよそ1億年前から6500万年前までの古い時代なので、その後の長い年月で削剥を受けています。このため、本来ならば地下深くに存在するはずの深成岩も広く地表に露出しています。


岐阜県鬼岩公園に見られる一枚岩の花崗岩 (太郎岩)。一帯には花崗岩特有の風化地形が見られます。1991年5月撮影。[画像クリックで拡大]

 一方、削り残された火山の岩石 (火山岩) もたくさん見られます。これらを調べていくと、近くにある深成岩と火山岩は互いに同じマグマ活動によってできたものが多くあることが分かってきました。このようなものを「火山-深成複合岩体」と呼びます。また、野外調査の進展と共に、多くのコールドロンが判別されるようになってきました。火山-深成複合岩体およびコールドロンについては、地球科学の基礎知識にある「カルデラ噴火」のページをご覧下さい。