地震のメカニズム

 日本で大きな被害をもたらす地震には、大きく分けて二通りの発生メカニズムがあります。ひとつはプレート境界型地震、もうひとつは活断層型地震です。どちらも時間と共に蓄積したひずみが限界に達し、岩盤を破壊させるために発生します。

プレート境界型地震

 プレート境界型地震は、その名の通りプレート同士が接する場所で発生する地震です。日本の周辺ではプレート境界は海溝なので、特に海溝型とも呼ばれています。2011年の東日本大震災をもたらした地震がこのタイプで、沈み込む海洋プレートと大陸プレートの摩擦が、ひずみの蓄積する原因です。

沈み込む海洋プレートと大陸プレートの境界面で地震が発生します。

 海洋プレートが沈み込むときに、その上にある堆積物や海山も沈み込みます。海洋プレートには海山の多い場所、少ない場所があるため、プレート境界面の性質はすべて同じではありません (望月, 2017など)。海洋プレートの沈み込みに伴い、ゆっくりと滑っている箇所もあれば、強く固着して動かない箇所もあります。この普段は動かない箇所に歪みがたまり、あるとき突然動くことで地震が発生するのです。

 プレート境界は、海溝から地下に連続する巨大な面です。したがって、地震の際に発生する岩盤の破壊の規模 (マグニチュード) も大きく、たとえ震源が遠くであったり、地下深くであったとしても、広範囲に強い揺れを引き起こし、被害をもたらすことがあります。また、プレート境界面上のどこか一箇所で破壊が起きると、それが連鎖的に広範囲に伝播することがあります。プレート境界型地震の場合、こうして巨大地震を起こすことが知られています。また、プレート境界型地震は、ときに津波を発生させます。

活断層型地震

 活断層型地震は、地殻の断裂である断層が動いて発生する地震で、1997年の阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震や2016年の熊本地震はこのタイプです。断層は地下の固い岩盤が引っ張られたり、圧縮されたりして割れる現象ですが、地殻がそのような力を受けるのも、プレートの運動が原因です。断層には種類があり、岩盤にかかる力の方向によって断層が動くときのずれ方も変わります。地殻に働いている力のことを応力場といい、その種類によって形成される断層の種類も決まるので、断層から応力場を推定することもできます。

断層の種類。正断層は地殻が引っ張られるとき、逆断層は押されるとき、横ずれ断層は横方向の力が働いているときにそれぞれできる断層です。ただし、実際には斜めに押されたり、引っ張られたりして、しばしば横ずれ正断層、横ずれ逆断層が形成されます。
出典:産総研地質調査総合センター 外部リンク絵で見る地球科学「断層の分類」 外部リンク の図を元に、本ページ用に応力場を示す矢印を追加。

 地震を引き起こした断層を地震断層といいます。地震断層は地下の固い岩盤が割れることでできますが、規模の大きな地震断層は地表にまで達して地表を変位させます。このように、地表に現れた地震断層を活断層と呼びます。

 活断層は再び地震を起こす確率が高いと考えられ、政府の地震調査研究推進本部 (地震本部) が中心となって、全国の活断層の詳しい調査を進めています。

 活断層型地震は、岩盤の破壊の規模はプレート境界型地震ほど大きくないことが普通です。ただし、震源が浅いので、断層の近傍には大きな被害をもたらすことがあります。また、全国で活断層の分布を示した地図がつくられていますが、地震断層は必ずしも地表に現れるとは限らないので、活断層がないからと言って安心とは断言できない点には注意が必要です。

地震断層と活断層。地震断層の中には地表まで達しないものもあります。したがって、活断層が見られない場所には地震は起きないとは断言できません。

地震動

 地震で発生する揺れには種類があります。大きく分けると縦波と横波です。縦波は進行方向の揺れの成分を持つため速度が速く、primary wave (P波) とも呼ばれます。横波は進行方向とは直交する方向の揺れなので速度は遅く、secondary wave (S波) とも呼ばれます。また、震源から直接到達する揺れとは別に、地表を伝わって届く表面波という揺れもあります。表面波は、通常は横波よりもやや遅れて到達します。

震源から直接到達する地震波 (縦波と横波) の伝わり方。
出典:地震調査研究推進本部 外部リンク防災・減災のための素材集 外部リンク 「地震波(P波とS波)の伝わり方」。

 地震は断層という平面上での動きによって引き起こされるので、動きの大きな方向と小さな方向が生じます。例えば縦波は進行方向に最も揺れが大きくなりますので、震源が観測者の直下にあるときは、いきなり強い上下動を感じることになります。

震源球と発震機構解

 地震の最初の動き出し (初動) は「押し」と「引き」に明瞭に分かれるため、初動の観測結果をもとに断層の形態やずれの方向を見極めることができます。断層の動きと初動を模式的に示したのが、以下に紹介する「震源球」という表記法です。

 震源球は、空間を球に模して、断層の形態や初動の向きを示すものです。断層運動によって押された部分を濃い色で、引っ張られた部分を白い色で表現します。下の図は逆断層の例ですが、断層の上側は「押し」の領域となっていて、震源の直上では縦波による突き上げを感じることになるのが分かります。ただし、下図のように2通りの逆断層が全く同じ「押し」と「引き」の分布を作り出します。これらを共役断層といいます。

逆断層と震源球のイメージ図。断層運動によって押された部分と引っ張られた部分が均等に現れること、異なる2つの断層 (共役断層) が、同様の押し引きを発生させることが分かります。
出典:気象庁 外部リンク震源球と断層面の関係 外部リンク 「逆断層と震源球のイメージ図 (図2および図6)」を本ページ用にひとつの図に編集。

 この震源球の水平面を上から見た場合の図 (下半球投影) を発震機構解と呼んでいます。地震の速報でも公開されているので、見方を覚えておくと地震の性質が素早く分かり、便利です。

参考文献

CC-BY