栃木県の地下地質

最終更新 2016.12.31

 地下の地質を調べる方法は、大きく分けて二通りあります。ひとつは直接掘削して調べる方法で、主にボーリングがこれに当たります。もうひとつは物理探査で、より広い範囲を調べることができます。

ボーリング調査

 ボーリングとは、パイプ状の器具を用いて地盤を掘削し、土や岩石のサンプルを回収したり、強度や物性のテストを行う調査です。大規模な工事や温泉掘削に伴って行われます。栃木県内のボーリングデータは、公共工事のボーリング調査結果などがウェブサイトを通じて公開されています。

 地質図の作成に際しても、ボーリングデータは重要です。特に、断面図を描く際に参考にしたデータは、図中に表現されています。


宇都宮大学峰キャンパス (赤矢印) の地下地質を地質断面図で見たところ。ローム層・段丘礫層の上に位置し、約20 m地下には「Of:大曽層」が存在していることが分かります。地下に伸びる黒い棒が、ボーリング調査の位置を表しています。[画像クリックで拡大]
出典:産総研地質調査総合センター 外部リンク1/5万地質図幅「宇都宮」 外部リンク を利用し、本ページ用に説明を加筆。

 栃木県の平地の表層を構成する段丘堆積物や沖積層は、礫が多いのが特徴です。では、その礫はどのくらいの深さまで続いているのでしょうか。さまざまなボーリングデータを収集して解析することで、その様子を解明できます。これまでの各地のボーリング結果から、平地の地下では岩盤の深度がとても深く、古い谷地形が隠れていることがわかってきています。

 栃木県では、毎年「栃木県地盤変動・地下水位調査報告書」を発行しています。これには「参考資料」として栃木県の地形と水理地質の概要が掲載されています (平成22年度版のリンクはこちら 外部リンク ;その後の年度にはウェブサイトへの掲載がされなくなっています)。本資料の地質断面図のオリジナルは、2003年発行の「栃木県水理地質書」のものです。この図は、自治体のウェブサイトや各種の委員会などでもよく参照されており、栃木県の地下地質を示すものとして定番となっていますので、詳しい情報はこの資料を参照してください。


「栃木県地盤変動・地下水位調査報告書」の参考資料として掲載されている「栃木県水理地質書」の地質断面図の例。宇都宮市付近の西北西-東南東方向の断面です。鬼怒川低地より東に基盤の谷があるのが分かります[画像クリックで拡大]
出典:平成22年度版「栃木県地盤変動・地下水位調査報告書」参考資料より引用 外部リンク

物理探査

 下の図は栃木県の重力図 (仮定密度2.0g/cm3) です。赤い色の地域ほど全体として重い岩石からできていること、一方で青い地域ほど比較的軽い岩石が支配的であることを示しています。また、高低差が大きい場所には、何らかの構造 (断層など) があると予想されます。


栃木県の重力図 (ブーゲー異常図 (仮定密度2.0g/cm3))。[画像クリックで拡大]
出典:産総研地質調査総合センター 外部リンク日本重力データベース DVD版 外部リンク ccbynd_s.png 外部リンク に加筆 (許諾申請不要のケース 外部リンク に該当)

 上の重力図で特に目立つのが、栃木県北部の盆地状の構造と八溝山地西縁部の段差のような構造です。後述するように、これは東日本大震災のときに揺れの強かった地域とも一致しており、この地下が深い盆地状になっていて、新しい時代の堆積物で埋め立てられていることを示唆します。

磁気探査

 下の図は栃木県の空中磁気図です。数値が大きいということは、それだけ磁性鉱物を多く含んでいる地質 (例えば火山岩など) が存在することを意味します。この図でも、那須・高原・日光の火山と磁気の高い範囲がよく一致しているのがわかります。その一方で、地表には火山岩のほとんど見られない真岡から小山にかけても高い磁気異常がありますが、その理由はよくわかりません。地下に存在する地質が影響していることが予想されます。


栃木県の空中磁気図。色の赤いところほど、磁性の強い地質 (例えば火山岩など) が存在することを示しています。[画像クリックで拡大]
出典:産総研地質調査総合センター 外部リンク日本空中磁気データベース 外部リンク ccbynd_s.png 外部リンク に加筆 (許諾申請不要のケース 外部リンク に該当)

地震動の増幅

 岩盤の深度が深いということは、それだけ新しい時代の (まだあまり固まっていない) 堆積物が厚いことを意味します。すると、例えば地震動を増幅させることが知られています。実際に、2011年3月11日の地震でも、栃木県東部の平地で揺れが大きく、福島県や茨城県の海岸部に匹敵するほど揺れたことが分かっています。


東日本大震災本震の揺れの強さを表した図。赤い色が揺れが強かった地域を示しています。[画像クリックで拡大]
出典:産総研地質調査総合センター 外部リンク地震動マップ即時推定システム (QuiQuake) 外部リンク の画像データと地理院地図を利用してQGISで制作。