栃木県の資源

 栃木県には、かつて多数の鉱山が稼行していました。現在でも、石灰石や石材、砕石など、全国有数の知名度・生産量を誇るものもあります。

鉱物資源

 栃木県の鉱山といえば、歴史的に最も有名なのは足尾鉱山でしょう。主に銅を採掘していたため、足尾銅山として知られています。有名なのは、一部は負のイメージにもよりますが、それでも県内の鉱山の中では、鉱床の規模や生産量は際立っていました。

栃木県内の鉱山 (鉱物資源) の分布。四角形が堆積型、円形がマグマ起源の鉱床を表しています。
鉱山の位置と種別は産総研地質調査総合センター 外部リンク鉱物資源図 関東甲信越 (1998) 外部リンク ccbynd_s.png 外部リンク から作成。背景地図に地理院地図 白地図 外部リンクを設定してQGISで編集。

 栃木県には、足尾鉱山のほかにも多数の金・銀・銅・鉛・亜鉛鉱床があります。そのほとんどは、およそ1500万年前に栃木県が海に沈んだ時代の火山活動によってできたものです。これらの鉱床は、マグマから分離した水、またはマグマに熱せられた地下水によって形成されるため、「熱水鉱床」と呼ばれています。熱水鉱床にもいくつかのタイプがあり、この時代に形成された栃木県内の金属鉱山は「鉱脈型」に分類されます。

 栃木県内では、カオリンやろう石の鉱床も、同じときに形成されています。熱水は高温と化学変化で地下の岩石を変質させます。そのときに、大量の粘土鉱物が形成されることとがあります。これらの粘土鉱物は、質のよいものは化粧品の原料となったり、タイルやモルタル、磁器の原料等に利用されます。「ろう石」と呼ばれるこれらの粘土鉱物の鉱山は、栃木県内で今でも稼行しています。

 足尾山地と八溝山地にはマンガン鉱床も多数存在しています。また、足尾山地には石灰石の鉱山が、地層の分布に沿って列をなしているのがわかります。

 栃木県内の足尾山地一帯は、かつて有数のマンガンの産地でした。特に、鹿沼市 (旧粟野町) にあった加蘇鉱山は、この地域でも最大の規模を誇りました。現在では足尾山地にその当時の風景はなく、坑口やズリなどに面影を残すのみとなっています。

県道脇にある加蘇鉱山の坑口跡。真夏でも冷たい風が吹き出してくるので驚かされました。1986年8月撮影。

 マンガン鉱石は重いのが特徴です。また、新鮮なものはきれいなピンク色をしていますが、酸化しやすく、空気に触れるうちに真っ黒になってしまいます (要するに小学校の実験で使ったりマンガン乾電池に入っていたりする二酸化マンガンの色)。マンガン鉱物はとても種類が多く、鉱山では新種の鉱物が発見されることもあります。現在でもチャートの採掘に伴ってマンガン鉱物が産出しますが、鹿沼市の日瓢鉱山では、珍しい結晶構造を持つ「プロトマンガノ鉄直閃石」が発見されています。

 日瓢礦業株式会社のウェブページはこちら ext_s.png(291 byte)

石材

 石材として最も有名なのは「大谷石」です。さまざまな建築物や礎石として、県内のみならず、近隣の都県で利用されています。現在の採掘は地下採掘場で行われていますが、大谷の町には地表にも石切場の跡が各所に残り、ここが石の町であることを実感させます。

大谷資料館の大谷石地下採掘場跡。2007年8月撮影。

大谷資料館のウェブサイトはこちら 外部リンク

 大谷石のほかにも、栃木県内には石材に利用されてきた石が多数あります。下の表は主な石材の一覧です。既に採掘を終えた石もありますが、中には著名な建築物または身近な利用例として名前を聞いたことのある石もあることでしょう。

石材名 産地 地質の情報
岩舟石 栃木市岩船山 新第三紀の安山岩火砕岩類
深岩石 鹿沼市深岩付近 新第三紀の流紋岩火砕岩類
板橋石 日光市板橋 新第三紀の流紋岩火砕岩類
大谷石 宇都宮市大谷町付近 新第三紀の流紋岩火砕岩類
長岡石 宇都宮市長岡町 新第三紀の流紋岩火砕岩類
船生石 塩谷町船生 新第三紀の流紋岩火砕岩類
茂木石 茂木町内の各地 新第三紀の流紋岩火砕岩類
芦野石 那須町芦野 第四紀のデイサイト火砕岩類 (溶結凝灰岩)

 こうしてみると、鉱床と同様に石材の多くが新第三紀の火山活動と関係のある地質であることがわかります。

砕石

 実は、栃木県は砕石の生産量が全国トップの水準です。県内だけでなく、大消費地である首都圏へ出荷されています。砕石資源の約6割はコンクリート用、約3割が道路用に使われています。栃木県の石が、各地のインフラを支えているわけですね。

 統計値は、経済産業省のウェブサイト 外部リンク で公開されていますので、最新の情報はそちらでご確認ください。

CC-BY