大陸の衝突-ヒマラヤ山脈

海棲生物の化石

 世界で最も高い山はヒマラヤ山脈のエベレスト山です。この海から最も突き出たはずの場所に、実は海に生息していた生物の化石が見つかるのです。すなわち、エベレストをはじめとするヒマラヤ山脈は、もとは海に沈んでいたはずの土地が、およそ9,000 mも隆起してできたことになります。

標高5,300 m付近から撮影されたエベレスト山。山頂直下に地層の縞模様が確認できます。
出典:Digital photograph of Mount Everest taken at an elevation of 5,300 meter from Gokyo Ri, Khumbu, Nepal - Photograph taken by Rdevany, CC BY-SA 3.0 外部リンク, 詳しくはこちらを参照 外部リンク

インド大陸の衝突

 ヒマラヤ山脈の大規模な隆起は、大陸同士の衝突に原因があります。現在のインドは、かつては独立した大陸で、インド洋の南半球に位置していました。しかし、プレートの動きとともに北上を続け、約5000万年前頃にユーラシア大陸と衝突し始めます。こうして両大陸の間にあった海は消滅し、海に堆積していた堆積岩は大陸に挟み込まれて陸上へと隆起します。

インド大陸の北上とユーラシア大陸への衝突。7000万年前には南半球にあったインド大陸は、プレートの運動によって北上を続け、ユーラシア大陸に衝突します。
出典:The Himalayas: Two continents collide (USGS Public Domain), 詳しくはこちらを参照 外部リンク

 インド大陸はユーラシア大陸と衝突してもなお北上を止めず、やがてユーラシア大陸を持ち上げながらその下にもぐり込み、二段重ねの地殻を作り上げます。これがヒマラヤ山脈からチベット高原に至る巨大な高地です。インド大陸とユーラシア大陸の境界は巨大な衝上断層ですが、5000万年に及ぶ衝突の結果、最初の衝突境界は断層としての活動は既に終わっており、新たな衝上断層が衝突したインド大陸の中に できています。現在、インド大陸はかつて存在していた海の堆積物の下にもぐり込み続けているため、化石を含んだ堆積岩が浮力を受けてエベレストの山頂にまで隆起してしまったのです。

衝突したインド大陸とユーラシア大陸の断面図。インド大陸はユーラシア大陸の下にもぐり込みますが、海洋プレートと違って大陸プレートは軽いので浮力がはたらきます。こうして大規模な隆起が起こります。
出典:Continental-continental convergence: Understanding plate motions (USGS Public Domain), 詳しくはこちらを参照 外部リンク

 地形図を見ると、インド大陸がもぐり込み始める場所であるガンジス平原と、地殻が二段重ねに分厚くなったチベット高原の対照が顕著です。構造図では、チベット高原やヒマラヤ山脈に多数の断層ができているのが分かります。大陸同士の衝突が、いかに巨大な力を働かせたかをうかがい知ることができます。

インド-ヒマラヤの地形図。ガンジス平原とチベット高原の違いが明瞭。
出典:地理院地図 標準地図による 外部リンク

インド-ヒマラヤの構造図。インドに比べ、ヒマラヤ山脈やチベット高原に断層が集中していることが分かります。
出典:OneGeologyCGMW Bedrock and Structural geology 外部リンク地理院地図 標準地図 外部リンク を利用してQGISで作成。


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