盆地反転

盆地反転とは

 盆地反転とは、盆地だったところが長い時間のうちにやがて山になる、すなわち低かったはずの土地が、周りよりも高くなってしまうという、ちょっと不思議な現象です。そのメカニズムは、地殻にはたらく横方向の力と、それによって引き起こされる断層の活動で説明されています。


  1. 最初には水平な地層が重なっていた陸地があったとします。
  2. 地殻に引っ張りの力 (引張応力) がはたらくと、固い岩盤である地殻は伸びることができず、割れて正断層ができます。その結果、落ち込んだ側は盆地になり、ものがたまるようになります。
  3. 一帯が海に沈んだときにも、低くなっている盆地には堆積物が厚く堆積します。
  4. やがて、今度は地殻に押しの力 (圧縮応力) がはたらくと、固い岩盤である地殻は縮むことができず、既にあった断層面に沿って滑り始めます。
  5. 圧縮が続くと、断層面に沿った運動も継続し、ついには盆地にたまった厚い堆積物が一番高い山をつくることになります。

 約1500万年前から600万年頃までの間、東北日本は広い範囲で海の底に水没していました。その後、強い圧縮を受けるようになり、再び陸化して現在のような列島の姿になりました。この、再び陸になる過程で、断層の再活動が地形を大きく変える役割を果たします。その結果、盆地反転という現象が日本の各地で起こりました。

盆地反転の例

 盆地反転により、堆積盆の地層が山に現れている例が日本の各地に見られます。最も顕著なのは北部フォッサマグナです。かつては巨大な地溝帯で、大量の砂や泥を堆積させていたフォッサマグナは、その後の時代の圧縮により、水平方向には圧縮を、垂直方向には隆起を続けています。このため、かつて深い海に堆積したタービダイトが、現在は標高2000 m級の山岳地帯をなしています。

北部フォッサマグナの地質。糸魚川-静岡構造線 (中央の青線) の東側がフォッサマグナで、黄緑色の堆積岩が広く分布しています。本来は深い海に堆積した地層ですが、この図上では横方向に相当する圧縮を受けて、西側の北アルプスにも迫ろうかという山岳地帯を形成しています。
産総研地質調査総合センター 外部リンク20万分の1日本シームレス地質図 3D版 外部リンク の3D画像を基に編集。

海底に見られる例

 盆地反転の例は日本海の海底にも見られます。海底では陸上と違って浸食が進まないため、反転の構造がいっそう明瞭に残っています。特に日本海の東縁部で顕著に認められ、一部の研究者はこの付近にプレート境界を想定しています。


日本海中央付近の地質断面図 (2断面)。日本海形成時の断層活動で多数の構造盆地が形成され、黄色や黄緑の地層がそのくぼみを埋めている様子がわかります。

日本海東縁付近の地質断面図。断層の再活動で、黄色や黄緑の盆地の堆積物がせり上がって海山をつくっているのがわかります。

産総研地質調査総合センター 外部リンク地質図Naviで表示した日本海中部海域広域海底地質図 外部リンク の断面図を切り抜き。位置図は地理院地図 外部リンク に加筆して作成。


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